2025年、オレンジジュースの値段が下がったのはなぜ?

2024年まで高騰が続いていたオレンジジュースの価格が、2025年に入って急落しています。家庭での飲料需要は依然として存在するにもかかわらず、なぜオレンジジュースの値段が下がったのでしょうか。背景には、複数の経済的・農業的な要因が複雑に絡んでいます。

消費者離れによる需要減少

価格の高騰が続いたことで、消費者のオレンジジュース離れが進みました。特にアメリカでは、冷凍濃縮果汁から作られる再構成オレンジジュースの売上が、2024年から2025年にかけて16%以上も減少しています。

その理由の一つは「苦味」です。価格が上昇しただけでなく、品質の低下によって風味に違和感を覚える消費者が増え、購入を控える動きが広がりました。

品質低下──“苦い”オレンジの増加

ジュースの主原料となるオレンジの品質にも問題が生じています。最大の生産国であるブラジルでは、果実の糖度と酸度のバランスが崩れ、風味の劣化が報告されています。さらに、収穫時のばらつきにより、リモニンという苦味成分が多く含まれる果実が増えたことで、ジュース全体の味が落ち、これも需要低下の一因となりました。

生産量回復と供給過剰への懸念

2025年のブラジルのオレンジ収穫量は、前年と比べて約20%増加する見込みとされています。これは病害や干ばつに見舞われた2023年・2024年と比べて、天候条件が好転したためです。結果として、需給バランスが緩み、価格が下がり始めています。

投資家の撤退で市場が反転

価格高騰を見越して2024年に参入していた投資家たちは、2025年の供給増加や需要低下を受けて一斉に撤退。これにより先物市場での価格が急落しました。実際、2025年春にはアメリカの先物市場でオレンジジュース価格が大幅に下がり、「歴史的高値からの反転」として注目を集めました。

消費者への影響はこれから?

市場価格が下落しても、それがスーパーの店頭価格に反映されるまでには時間がかかる可能性があります。特に在庫の関係や、加工・輸送コストの影響を受けやすいジュース類では、値下げの実感が遅れるケースも珍しくありません。

とはいえ、これまで価格と品質の両面で敬遠されていたオレンジジュースが、再び食卓に戻るきっかけになるかもしれません。

▼価格が落ち着いてきた今、おすすめのオレンジジュースはこちら: